戦う前の敗北

三日前面接の案内のメールが来た。そこには「三日後の土曜日に面接います。詳しくは添付ファイルを参照してください」との内容が書いてった。しかし、僕がそのファイルを見ようとするとページが見つかりませんとのエラーがでて、見る事が出来なかった。僕は少ない知識を総動員してあらゆる方法をためしたが、結局それを見る事が出来なかった。これでは面接を受けることも出来ないと思い焦った僕は、担当の人にもう一度メールを送って欲しいとの連絡をした。
担当の人は再びメールを送ってくれたが、またしてもファイルを開くことは出来なかった。この時点で既に面接までは後二日を切っており、多少混乱した僕は別のアドレスにもう一度送って欲しいとのメールを送信した。それ以上できることの無くなった僕は仕方なく就寝した。
残り後一日となった朝、僕は起きるなりすぐにメールを確認したがまだメールは届いてなかった。激しい絶望感に襲われた僕は精神の安定を保つため、二度寝した。十二時ごろに起き、再びメールを確認するも返信は無かった。僕はこのまま家にいても如何仕様も無いと思い、大学で研究室のパソコンの設定でもして気を紛らわす事にした。そして、大学に行き研究室のパソコンの設定を一通り終えた午後三時ごろ三度メールを確認したが、呆れられたのか返信は無かった。最後の足掻きと思い一度目に着た添付ファイルを見ようとした。すると、ファイルは今までの事など何も無かったかのように開いた。何故だ・・・。僕は少し考え、その答えと思われる事に気がついた。ファイルを開くためのアプリケーションのバージョンが低かったのだ。何故こんな単純な事に気がつかなかったのだろうか。僕如何仕様も無い後悔に苛まれながら、開いたファイルの内容を見た。そこには研究内容(予定)をまとめたものとその他のいくつかの書類を提出しろと書いてあった。研究室は先週始まったばかりで、テーマも方向性も決っていなかった。既に一日の猶予も無かった。
僕は教授に仮のテーマを貰い、前年度の先輩達の作った論文をパッチワークのように継ぎ接ぎし、研究内容をでっち上げる事にした。現在午前四時、ようやく全ての書類が出来上がった。お世辞にも良い出来などということの出来ない、贔屓目に見ても酷い出来の書類だ。徹夜で仕上げたために体調も何処かおかしい。脳の方も既に限界だ。そのうえ何度もメールを要求したりと悪い印象もバッチリ植え付け済みだ。既に負けは決定している。それでも、僕はぼろぼろにされに会場に向かう。負けると判っても男にはやるしかないときがある。・・・とかそんなものではない。ここまでやって、面接を受けなければ僕が余りに惨めだからだ。