絶対時間

脳の奥で何かのスイッチが入った。何のスイッチかわからない。しかし、そのスイッチが入った瞬間から、僕は無敵になった。それは理由の無い確信だった。突如、今まで意味不明だった記号の列が明確な意味を形作り、唯一の解が瞬時求められた。自分の体温が上昇するのを感じた。僕に解けない問題などあるはずが無く、解は次々に求められた。世界が僕を中心に回っているような気がする。否。僕こそが世界なのだ。
僕は全ての解を叩き出すと、窓を開け絶叫した。前のアパートの電気がつき、窓から其処の主が顔を出した。僕は主に向かって吼えた。主はカーテンを閉め、明かりを消した。僕は無敵だ。最後にもう一度、空に向かいさらに大きな声で叫んだ。周りの家に次々と明かりがつき、狗どもが僕を祝福するために遠吠えを始めた。僕は窓を閉め部屋の明かりを消し、眠りに付いた。