西尾維新 - クビツリハイスクール

クビキリサイクル   400頁 840円
クビシメロマンチスト 400頁 980円
クビツリハイスクール 200頁 780円


恐らく僕の気のせいですが、金の臭いがしませんか。
まあ、気のせいです。もしくは、その分内容が濃くなっているでいいのです。
(以下ネタばれ)


今回の話をざっくり説明すると、以下のようになる。
依頼人を助け出すため主人公が女装し、お嬢様学校に潜入。
そのお嬢様学校は、実はプロの戦闘集団育成学校だったことが発覚。
何故か理事長の部屋は核攻撃にも耐えられそうなシェルター。
なおかつ、鍵はなく掌紋チェッカーでのみ入室。
鍵を壊して中に入ると、理事長は死んでおり、その罪を着せられる。
女子高生の策士、女子高生の二刀流のナイフ使い、女子高生の曲絃師と戦いながら謎を解く。


・・・・・・・・・。
嗚呼、確かに濃くなっている。別の方向だけどな。
しかも、ネタ切れのためか戯言は少なく、文章も全体的にコメディタッチ。
密室の謎解きはベタなトリックの焼き直し(コナンレベル)。
さらに、名前当てゲームでは、理不尽の一言に尽きる。
ヒント1:ニックネームは師匠、いーたん、いっくん、いの字、いー兄、いーの、いのすけ、戯言遣い、詐欺師。
ヒント2:名前をローマ字で表記した場合、母音が 8、子音が7。
ヒント3: * 「あ」を 1、「い」を 2、「う」を 3 ……そして「ん」を 46 として、名前を数字に置き換えたときの総和は 134。
この三つのヒントだけで、主人公の名前を瞬間に理解。
そんなの無理だろと思いつつ、ネットで検索してみると
http://homepage1.nifty.com/asagi/program/program01.html
このようなものを発見。
使用文字群の候補だけでも 1,055,257 件らしい。
戯言シリーズでありながら戯言は少なく、ミステリでありながらトリックは使い回し。謎解きでありながら圧倒的なまでに理不尽。アクションシーンは中途半端で、シリアスなシーンでのコメディタッチの部分は不愉快。
それでも、相変わらず、裏をかく展開は面白い。
西尾維新というブランドで包まれてなければ糞といわれても文句のつけようの無い作品。


追記
僕が戯言シリーズの「僕」を"いわばオタクなら誰もが自分と少し似ているのではないか。と、思えるようなキャラであると思う。"と称したが、本書にて"無個性で誰とも似てないけれど、欠けている部分があまりに多すぎるため、誰にでも似ている"的なことが書いてあった。
非常に納得でき、ここまで考えたキャラ設定に驚嘆するすればするほど、本書に対する苛立ちがつのった。