西尾維新 - サイコロジカル[上]

やっぱりクビツリハイスクールは、手抜いてやがったッッ!!!


ページ数に対する値段のインフレは未だに直ってないし、この[上]はキャラ紹介がメインで特別なことなど殆ど起きない。まさに、この本一冊が丸ごとプロローグと言ってもよい。それでも面白さは元に戻ったと感じた。いや、むしろ向上したといっても過言ではない。
戯言、同義語、対義語、言葉遊びなど、日本語の特性を活かした文章は読んでいて非常に面白い。


プロローグにあたる部分は兎吊木垓輔と主人公の対話により始まるのだが、主人公は一言さえ発することなく、兎吊木の一人語りが十四頁にもわたって続く。しかし、それなのに、長さを感じることなく、読んでいて違和感もなく、何よりも面白い。
さらに、喩え虚構とはいえ、ここまで平然と、そこまで歴然と、どんな努力も才能の前には塵に等しいと言わんばかりの内容は素晴らしく愉快だ。
また、主人公である「僕」や玖渚の過去にも触れてあり、「戯言シリーズ」の中でも重要な話だと思われる。


[下]が非常に楽しみだ。