シンジトタカシ

「なあ、授業中にこんなとこ来てていいのかな」
「じゃあ、教室戻れば」
「やだよ。どうせ昨日塾で聞いた話をきかされるだけやし」
「だよなぁ」
「嘘付けよ。お前塾とか行ってねぇじゃんか」
「あれだ。俺って優しいから、お前に付き合ってやってんだよ」
「じゃあ、教室戻るからついて来いよ」
「無理。あー、俺は教師の支配から逃れてんだ」
「尾崎かよ」
「早く大人になりてぇなぁ」
「大人だって大変だろ。何かしらの支配はうけてんだろ」
「三十五の夜」
「あはは、それいいな」
「盗んだベンツで走り出す」
「社長のだろ。スケールでけぇ」
「犯罪だよな」
「バイクでも犯罪だろ。つか、支配は卒業の方だろ」
「じゃあ、退職か」
「夜の会社窓ガラス壊してまわった」
「大人だとダサくなるな」
「お前だとどうなるんだよ」
「盗んだちゃりんこで走り出す」
「そっちのがダセェよ」
「俺実際よくやるし」
「最低だな」
「いやぁ、てれるなぁ」